6月になりました。
今月の日本の伝統シリーズブログは「稽古はじめ」です。
稽古はじめとは、伝統芸能の世界などで芸事を習い始めることなのですが
6歳になった6月6日から習い事を始めると上達するといわれているものです。
これにちなんで6月6日は「楽器の日」「邦楽の日」「いけばなの日」などが制定されています。
これは、室町時代に能を大成した世阿弥の理論書「風姿花伝」の中で
一、この芸において、おほかた七歳をもてはじめとす
と説いたことから始まりました。
数え歳7歳(満6歳)が習い事を始めるのには良い時期だということです。
稽古とは、単に技術を習得するための練習ということではなく
古(いにしえ)を考えるという意味があり、古書を読んで道理や故実を学ぶことでもあります。
芸が出来上がってきた背景や本質についても考え、儀式や礼節、考え方なども含めた
芸そのもの全てを理解して身に付けることを意味しています。
習い事の歴史や由来を知って、伝統を大切にして、人間的な成長があってはじめて
芸が身に付くものだと稽古という言葉で伝えてきたのです。
6月6日になったのは歌舞伎のセリフで「6歳の6月6日の」という語呂のいい言い回しからという説と
指を折って歳を数えるときに6のところから小指を立てるので
小指(子)が立つことから、子供が自立するという意味になるとして
その縁起のいい6を重ねた6月6日になったという説があります。
西洋では新約聖書のヨハネの黙示録に出てくる悪魔の数字として
6が三つ重なる666は縁起が悪いとされていることと対照的で面白いですね。
庭についても西洋と東洋で正反対の考え方がありましたが ブログ_新緑の季節
いろいろな点で西洋と東洋では逆の発想をしていることが多くて不思議な感じがしますね。
解禁になったとはいえまだまだコロナが心配ではありますが
自粛生活から進化した生活スタイルにあわせて
新しく何か始めてみるのもいいかもしれません。
日本の伝統である稽古はじめの6月からスタートすれば
習得が早くなるかもしれませんよ。