秋の夜長におすすめの小説、戦国時代の職人の戦いを描く直木賞受賞作「塞王の楯」

2024/10/08(火) すべてスタッフブログ

こんにちは。

少しずつ涼しくなり、過ごしやすい季節になってまいりました。

今回は読書がはかどる秋の夜におすすめの本をご紹介いたします。

 

【直木賞受賞作】塞王の楯

塞王の盾

塞王の楯は職人の技に焦点を当てた歴史小説です。

2021年10月発売、2022年に直木賞を受賞し、2024年6月に文庫化されています。

著者は今村翔吾さんで、塞王の楯のほかにも様々な歴史・時代小説を書かれています。

 

塞王の楯あらすじ

時代は戦国時代末期、穴太(あのう)衆の石垣職人の青年が主人公です。

幼いころに戦で家族を失った経験から「絶対に破られない「最強の楯」である石垣を作れば、戦を無くせる」「亡くなった両親や妹のような人をこれ以上出したくない」という想いを胸に石積みの技を磨き続けます。

主人公にはライバルがおり、国友衆の鉄砲職人で若き鬼才と名高い青年です。

彼もまた「誰もが恐れる脅威の鉄砲を作り、その恐怖を天下に知らしめることこそが戦の抑止力になる」という信念で新しい技術を取り入れた鉄砲を次々と生み出します。

どんな攻めにも破られない石垣という「最強の楯」、どんな守りをも打ち破る鉄砲という「至高の矛」の対決が、1600年に起こった関ヶ原の戦いの前哨戦「大津城の戦い」を舞台に描かれます。

 

登場する職人集団

穴太衆 — 石垣造りの名手たち

穴太衆は、滋賀県の穴太(現在の大津市)を拠点に活躍した実在する石垣職人集団です。

穴太衆積みと呼ばれる石垣技術は、ただ石を積み上げるだけでなく、石の自然な形そのままを最大限に活かして組み合わせることで堅牢かつ美しい石垣を生み出します。

その高い技術は当時の戦国大名に重宝され、城郭建築において欠かせないものでした。

穴太衆積みの石垣

 

穴太衆の築いた城はその強さを証明するように、数百年経った現在でも日本各地に残っています。

安土城

安土城(滋賀県近江八幡市)

彦根城

彦根城(滋賀県彦根市)

竹田城

竹田城(兵庫県朝来市)

 

 

国友衆 — 鉄砲鍛冶の匠

国友衆は、戦国時代を代表する鉄砲鍛冶の職人でこちらも実在した集団です。現在の滋賀県長浜市国友町に集住していました。

鉄砲は1543年にポルトガルから種子島に伝来しました。その鉄砲を元に独自の鉄砲を開発するよう国友村の鍛冶師が命じられ、1544年に完成したと伝わっています。

1549年には織田信長が国友村(国友衆)へ鉄砲500挺の注文をしている記録が残っており、国産・量産化された鉄砲はその後の戦に広く用いれられ、日本の歴史に大きな影響を与えました。

鉄砲という新しい技術をいち早く取り入れ、精密な鍛冶技術で実用的な武器を作り上げた国友衆は、時代の先端を行く職人の姿を体現しています。

戦国時代の鉄砲

 

現代に受け継がれる職人の技

穴太衆の石垣の積み方は自然石を自然のまま秘伝の技術によって積み上げることで、接着剤等も使わずにコンクリート以上の耐荷力を持っています。

また、石垣の内部に栗石と呼ばれる細かい石を丁寧に詰め、地震が来た時にはクッション材となり、水はけも良く崩れにくくする工夫が施されています。

 

実はこの穴太衆の石垣と同じ原理が家づくりにも取り入れられています。

割栗石を手作業で並べる 割栗転圧 砕石敷き

基礎工事の割栗転圧・砕石敷きという工程で、割栗石を手作業で並べ、隙間に細かい砕石を敷いて突き固める作業です。

この工程が「地面に浸透した水を効率的に排水」、「圧力が一点に集中するのを防ぎ地盤沈下を防止する」、「砕石層が地盤の動きや振動を吸収し、地震などによる地盤への影響を軽減する」などの非常に重要な役割を果たし、地盤の耐久性や安定性を向上させています。

 

家づくりの職人

私達工務店の家づくりも、「穴太衆」のように一棟一棟丹精込めた職人の技によってお客様が安心して暮らせる長寿命な住まいを造り、「国友衆」のように進化していく最新技術を取り入れるよう日々努めております。

職人の道具箱 左官職人 大工

普通の歴史小説であれば脇役になりがちな職人が「塞王の楯」では主役に据えられており、信念を貫き奮闘する様子に思わず感情移入してしまうほど、同じものづくりに関わる者として当時の職人達がとても身近な存在に感じられました。

 

 

「塞王の楯」は文章のテンポが良いため読みやすく、読んでいると自然と映像が浮かぶような臨場感があり、ワクワクする展開や構成が少年漫画のようで歴史小説に馴染みのない方にもおすすめです。

登場人物も親しみやすく敵、味方共に魅力的な人々ばかりです。

いつか映画化されてほしいと社内でも評判でした。

 

秋の心地よい夜風を感じながら、ぜひこの機会に「読書の秋」を楽しんでみませんか?

 

 

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